童話『星のひとみ』について

 

昨日、ひさしぶりに図書館に行ったら、予約していた本はまだ来ておらず、ぶらりとしていたら、絵本のコーナーに『星のひとみ』という絵本があった。

https://www.ehonnavi.net/ehon/120482/%E6%98%9F%E3%81%AE%E3%81%B2%E3%81%A8%E3%81%BF/

 

このトペリウスという人が原作の物語は、物語をほとんど忘れてしまっていたのだけれど、小さい頃に読んだかすかな記憶があった。

私が小さい時に読んだのとは絵は違っていて、三年ぐらい前に出版された絵本だけれど、おそらく私が昔読んだ話だと思った。

 

それで、手に取って読んでみた。

 

話は、やや悲しい話といえばいいのか、雪の中に置き去りにされていた子どもが、親切な人に引き取ってもらったが、あまりにも澄んだ瞳を持つその子を、一家のおかみさんがけむたく思い、旦那さんが出稼ぎに行っている間に雪山に捨てに行ってしまい、あとで探したが見つからなかった、という物語である。

漠然とだけど、なんとなくそんな物語を小さい頃にたしかに読んだ記憶がある。

 

それで、ネットで調べてみたが、「チャイルド絵本館」というシリーズに、たしかにこのトペリウス原作の絵本で『ほしのひとみ』という絵本が昭和56年に刊行されており、その表紙も見覚えがあった。

 

他のいくつかの絵本に比べて、やや暗くて物悲しい物語だったので、あんまり読むことはなく、妹と、この話は悲しいから読むのをやめておこう、などと話した会話をかすかに覚えている。

たぶん、私が五つか六つの頃だったろう。

 

いま大人になって読んでみて思ったのは、一見日本の昔話にもよくある継子いじめの物語のようでもあるけれど、この物語は、無力な神の子と人間の罪という、極めてキリスト教的なモチーフを描いているように思えた。

ただ、そういう単純な図式や括り方を越えて、何か名状しがたい何事かがあるので、ずっと絵本や童話の名作として繰り返し語り継がれて、読み継がれているのだろうと思う。

 

トペリウスは「フィンランドアンデルセン」と呼ばれているそうで、19世紀フィンランドを代表する児童文学やさまざまな文学作品を書いた作家だそうである。

日本語にも他にもいくつか翻訳があるようである。

そのうち、読んでみたいものだと思う。