「箴言27:21」について

箴言27:21」について

 

 

先日、箴言の27章21節について、新改訳と協会共同訳が大きく異なるが、その理由は何かと尋ねられた。

気になって、自分なりに調べてみた。

 

※ 協会共同訳と、その他の訳でかなり異なる。多くの訳は新改訳と同主旨(英訳も)。

 

協会共同訳:「銀の精錬にはるつぼ、金には炉。

人は賛美する口によって精錬される。」

 

新改訳2017:「銀にはるつぼ、金には炉があるように、

人は他人の称讃によって試される。」

 

新共同訳:「銀にはるつぼ、金には炉。人は称賛によって試される。」

 

岩波訳:「銀にはるつぼ、金には融解炉。

人は、その賞賛〔の程度〕に応じて〔試験される〕。」

 

ヘブライ語原文:

マツレフ・ラケセフ・ヴェフール・ラザハヴ・ヴェイッシュ・レフィ・マハラロー

(るつぼ・銀に・そして炉・金に・そして人は・~によって・その賞賛)

 

⇒ つまり、多くの訳に補足されている「試される」は原語にはない。箴言17:3のよく似た文章から「試す」の語を補足して訳している。

参照:箴言17:3 新改訳2017「銀にはるつぼ、金には炉、人の心を試すのは主。」

協会共同訳「銀の精錬にはるつぼ、金には炉/心を精錬するのは主。」

 

賞賛の原語「マハラル」は「ハラル」から来ており、praiseの意味。「レフィ」はaccording toの意。したがって、「銀にはるつぼ、金には炉、人は、その讃美に応じて。」とも訳せる。また、「レフィ」の元の形の「ペー」は「口」の意味もある。

 

箴言17:3がよく似ており、前半は同じなので、その「試す」の語句を27:21に補足して読めば新改訳や多くの訳の「人はその賞賛によって試される」という訳になるかと思われる。

 

しかし、箴言17:3を考えず、全く別個の文章と考えるならば、箴言27:21は「銀にはるつぼ、金には炉、人は、その讃美に応じて」あるいは「その讃美の口に応じて」となる。単独で読むのであれば、協会共同訳も正確な訳と言えると思われる。協会共同訳は他の訳とあえて異なる訳を提起しているが、人が讃美によって精錬されるというビジョンは美しいと思われる。