311 忘れない

今日は、311を忘れないための行事がS大のチャペルであり、知人からお知らせをいただいていたので行ってきた。

 

ソン・ソルナムさんという、韓国時代劇「ホジュン」や「イサン」や「トンイ」などの挿入曲を作曲・演奏した、韓国を代表するフルート演奏家の方が来て、御話と演奏をしてくださった。

 

ソンさんは、311の少し前に宮城でコンサートをしたことがあったそうで、311の時にとても驚き、すぐに多くの毛布や衣服などを持って被災地に行ったそうで、そのあとも毎年被災地を回り、フルートを演奏して回っているそうである。

自分は日本と日本の方々を大好きなので、そうせずにはいられませんでした、とおっしゃってくださり、その優しさに胸打たれた。

 

最初に、エンニオ・モリコーネの「ミッション」を演奏してくださり、もともと好きな曲だったので、感銘深かった。

 

その次に、私は知らない曲だけれど、「ふるさと」という曲を演奏してくださり、演奏中、三回フルートを変えて演奏されていた。

 

「三回フルートを変えましたが、最初のフルートは銀製で結構高価なもので、二番めのフルートは金色のプラチナで、ダイヤモンドもはめてあって、家が一軒建つぐらいの値段です。

しかし、三回目の笛は、二千円ぐらいで買えるもので、しかも長年使いこんで、こわれた部分を接着税で修理したこともあります。

しかし、どれも良い音色だと皆さん思っていただけたでしょうか?

私はどのフルートも大切にしていますが、三つめのものもとても愛着を持ち、愛しています。」

とソンさんはおっしゃり、その後、三本目の笛で、ドラマ「イサン」の中でしばしば流れていた曲を演奏された。

とても良かった。

 

そして、その後、

「この笛の音色もすばらしいと思っていただけたでしょうか?

もし思っていただけたなら、音色や演奏のすばらしさは、笛がどのような笛かということではなく、演奏によると言えると思います。

笛がみすぼらしくても、演奏がよければ、すばらしい音色が奏でられます。

そのように、私たち一人一人も、不完全な人間であり、時に心に深い傷を持っていますが、神様という演奏家が私たちを通して演奏してくださるとき、そこには素晴らしい音色が奏でられます。」

 

大略、このような意味のことを御話された。

大変感銘深かった。

 

311から五年になるけれど、あの時に、そして今も、世界中から日本と被災地にさまざまな人々の手や思いがさしのべられたことを忘れないようにしようと思う。

そして、もう二度とあのような悲惨な原発事故がないように、できることをしていかなければと思う。

 

演奏が終わった後、チャペルから戻って行く道の途中、ちょうどアーモンドの花がきれいに咲いているのを見た。

アーモンドの花は、いつか見たいと思い、写真ではしばしば見たことがあるけれど、たぶん実物ははじめてなのではないかと思う。

聖書によく出てくる、イスラエルでは今の季節とても美しく咲く花だそうである。

ヘブライ語のアーモンドはシャーケードというそうで、それと発音の似ているショーケード(目覚め)という言葉をひっかけて述べている聖書の中の箇所があるけれど、たしかに、目の覚めるような美しさだった。