メフィボシェテのこと

今日は、聖書の研究会で、H先生がサムエル記下の9章あたりの、メフィボシェテの話をしてくださった。

メフィボシェテは、ヨナタンの息子で、五歳の時に高い所から落ちて足を悪くして、生涯歩行が不自由だったという。

サウルとヨナタンがペリシテとの戦争で戦死し、ダビデが台頭し、サウル王家が滅びた後は、田舎でかくれるように暮していた。

ダビデは、若い時のヨナタンとの友情を思い出し、ヨナタンの息子がまだ生きていると知って探し出して、メフィボシェテに所領を与え、常に自分の側に置き、自分の王子たちと同様にいつも自分の食事の時は一緒に食事をするようにしたという。
メフィボシェテは、「死んだ犬」のようだった自分をダビデ王が顧みてくださった、と素直によろこび、感謝したという。

しかし、のちにアブサロムの反乱が起こった時、メフィボシェテの家来がダビデに対してメフィボシェテを讒言し、ダビデはメフィボシェテの所領をすべてその家来に与えることを決めた。

アブサロムの反乱の鎮圧後、ダビデが復権し、エルサレムに帰還し、メフィボシェテに再会すると、メフィボシェテはアブサロムの乱が起こってからひげを剃らず、衣服も変えずに、ずっとダビデの無事を祈っていた様子だった。

なぜ自分に付き従わなかったのかとダビデに尋ねられると、メフィボシェテは自分は歩けないので、ろばにのってついていこうとしたけれど、家来にだまされてついていけなかった、しかし、言い訳はしないのでダビデ王が望むようにしてください、と述べ、謀反の心がないと悟ったダビデは、メフィボシェテに所領の半分を戻そうとするが、メフィボシェテはダビデとともにいられるだけで良いので、所領は要らないと言った、という。

ここまでの話は、私も以前聖書を読んだ時に記憶があったのだけれど、そこから先、私はどうも聖書を読み間違えていた。

というのは、そのあとに、ややこしい話で、サウルの息子で同名のメフィボシェテ、つまりヨナタンの息子のメフィボシェテの叔父のメフィボシェテが、ダビデ王の治世の末期に殺害される話が出てくるので、私はてっきり、このヨナタンの息子のメフィボシェテは結局最後は殺されたと勘違いし、なんとかわいそうな人だろうと思っていた。

しかし、これは別人で、ヨナタンの息子のメフィボシェテは無事に生き残ったようである。
それのみか、歴代誌下の八章三十四節に、このメフィボシェテの息子のミカから、多くの子孫が繁栄してずっと続いて増えていった話が載っていた。

その歴代誌の記述は、以前読んだ時に、どうも結びつかずに読み飛ばしてしまっていたみたいで、聖書にはきちんとメフィボシェテの子孫の繁栄が描かれていたことを、今日はじめて知って、とても安心し、うれしい気がした。

そうこう考えると、ダビデは、いろいろ欠点もあったとしても、芯のところではやっぱり人情に厚く、良い立派な人物だったんだろうなぁと思う。

思えば、ダビデとメフィボシェテの関係は、イエスと人との関係のようなもので、私たちも死んだ犬のようなものが、なんの功績もないのに、一方的にイエスの恩恵で救われたようなものである。
しかし、メフィボシェテのように謙遜でも柔和でもなく、とかく恩知らずになりがちで、何かあれば文句ばかり言うものであるが、そう思うと、メフィボシェテという人は、本当にすごい人物だったのだなぁと思う。

旧約聖書には、ときどき、あんまりメジャーではないけれど、実は教わるところの大きいこういう人物についての記述があるよなぁ。